Emerging Technology研究会に行ってきました。今回のテーマは「任天堂Wiiとゲーム周辺業界」。SONYとは対照的に非常に明快でそれだけに脅威な戦略で事業進める任天堂を、“ビジネスマニア(?)”はどう観るのか、またどんな領域に影響を及ぼすのか考えてみようと思いました。久しぶりに頭使った・・・。(発言はしてないけど)

ホームサーバというポジション

SONYなどがずっと言い続けてきた家電が繋がるという構想。任天堂のWiiが“Wiiチャンネル”でついに具体化するようです。すなわち家庭におけるテレビの役割をどう定義づけするかということになります。とはいえ、Wiiはいわゆるホームサーバではないというのも分かる。家庭用エンターテインメントSUITEみたいなイメージ。だから、Wiiはあらゆるインタフェイスをオープンにして、情報家電と縦横無尽に繋がっていくというものではない、ということで見解がほぼ一致していたと思う。任天堂がエンタメと認めるものしか、Wiiというプラットフォーム上では動かせない、その結果

Googleのように任天堂も“神”になる
SEOならぬNFO(Nintendo Filter Optimization)なんてのができる

というのも冗談には聞こえない。

コミュニケーションを強烈に意識

任天堂はずっと一貫して“コミュニケーションをいかにデザインするか”ということに判断基準を置いている。そこにイノベーションを起こそうとしている。だから、Wiiの置かれるスペースはみんなが集まるリビングじゃないといけない(しかも、テニスをする場合、相当な広さの)。カラオケBOXならぬWiiBOXができてもおかしくないのは、そういうところから来ている。最近建てられたそれなりに大きなマンションなら必ずある共有スペースにも置かれて然るべきだし、リビングの設計コンセプトすら変えかねない。「Wii対応マンション」みたいな・・・。

PCは要るのか?

とここまで来て最後のほうに議論になった

PCは長らく偉そうにしすぎ

というのは期待していた議論の方向性だった。コミュニケーションを強烈に意識すると、本当に必要なものが見えてくる。たいていの人はデジカメで撮った写真をPhotoShopで合成したいとは思ってないし、ビデオを編集ソフトでガッツリ編集なんてしていない。(しようとはしているが挫折)それを“コミュニケーション”という尺度でWiiが再設計すると、本当に家庭にPCはいらなくなる。PCは長らくユニバーサルデザインというのをあくまでも“付加価値”として軽視しすぎた。本当はそれは付加(オマケ)ではなく、価値そのものというがWiiの提案だと思う。サービスは、ある程度ブラックボックスで良くて、何しか安心して気持ちよくコミュニケーションしたいという欲求をWiiが満たそうとしている。このあたりは、Macの最新CMが「パソコン」と「Mac」を比較しているあたりとも符合してきてオモロイ。

オフィスでのPCはどうなる?

自宅にはPCがなくなった(とする)。そのときオフィスはどうなるんだろう。PCは業務用汎用機になっているのだろうか。すくなくとも今のPCは不要になるんだろう。シンクライアントが、ここにきてやっとビジネスになり始めていくことからも分かる。つまり、業務システムも、それを前提に設計されていなければならない。PCと同じくいつの間にか業務システムは「業務アプリを使う」のが目的になってしまっている。使いにくくても「仕様」だから仕方ない。コミュニケーションから再設計し、クリエイティブな業務を行うための業務システムを提案しなければならない。

Wiiのように25,000円で気持ちよくコミュニケートできるのに、2,500万円の業務システムはなぜ気持ちよくコミュニケートできないの?って思うのは当然ですから。