ZDNet Japan ソリューションフォーラム 2006に参加した。ベンダーの考え方やツール紹介はさておき、アイ・ティ・アールのアナリストの方の講演は頭を整理することができたので、メモ。
ナレッジワーカー・インフラの再考
IT投資のモチベーションは、情報・ナレッジの共有、再利用環境の整備、コンテンツ管理に向かっているという。そこで生産性向上への取り組みの視点として

  • ワークスタイルの変革
    物理的なオフィススペースの変革(→フリーアドレス)
  • ナレッジマネジメント
    情報アクセシビリティの向上(→EIP)
  • 業務プロセスの改善
    伝達・指揮命令系統のスピードアップ(→内部統制)

を挙げられていた。内部統制は最近のトピックスとはいえ、“再来”といった感が強い。
また、業務分類として、構造化データと非構造化データ、定常的と非定常的で分類整理すると、当然ではあるが非構造化データの扱いがポイントになってくる。つまりはプロセス化(合理化)とナレッジ化(関係化)とのバランスということになる。ここで、合理化は進みやすいので、いかにナレッジ化を進めるかというのが今後の方向性となる。
ナレッジ化の考え方として4つのポイントを挙げておられた。

  • コンテンツの作成と再利用
    初期段階。公開と閲覧のサイクル。
  • コラボレーション
    ひとつのソースをみんなで更新していく。
  • 付加価値の追加と成長
    使えば使うほどクオリティが向上する。
  • ソーシャル・ネットワーク
    人間系の取り込み。

これをまわす仕組みが求められている(というよりは提供すべき)システムとなる。ここで、ひとつの方向性としてグループウェアからコラボレーション・プラットフォームへの進化ということで、キーワード「インフォメーション・ワークプレイス」が挙げられていた。これは、標準化が前提となっているという点では、分散というよりは集約するということで、比較的大規模な企業システムが想定されているように感じた。
何にしろ、魔法のITツールは存在せず、確固たる情報戦略のもとプライオリティを明確にし、人間系の意識と行動がキーになるという意味では、これまでの“IT”投資の意識では期待する効果は得られないだろう。