いつも楽しく参加している慶應MCC主催夕学五十講

先日は、iモードの生みの親である夏野剛さんでした。内容は「IT革命は道半ば。どんどんこれから変化が日常生活に現れてくる」というもので、非常にエネルギッシュで、ワクワクするプレゼンでした。

その中からピックアップしてメモ。

情報の非対称性を前提とした仕組みはもういらない

情報の偏在性、たとえば平社員が知らないことを、部長は知っていてそれがある種の権限なり権威なりを生んでいるみたいなことは、もはや不要という議論。

これには非常に共感。

経営イノベーションの一要素として、偏在性を活用するということがあると思う。たとえば中国で生産すれば人件費が安いのでコスト削減できる、みたいな。たしかにあるんだけど、それがキャッチアップされて、偏在性が失われるスピードというのは明らかに速くなっているのではないだろうか。

講演では、マスコミの役割についても述べられていた。つまり、マスコミは必要なのかどうか?と。
夏野さんは“編集”にこそ価値があり、マスコミは(そこを意識してビジネスする限り)必要とされると仰っている。紙に拘ってたら生き残れないよ、と。

企業内部の組織構造も然りと思う。
非対称性はそれでも残るとして許容する企業は、その企業そのものが生き残れなくなるのではないだろうか。

経営者の役割の変化

これまでの「管理・監督」から「率先・垂範」へと移行するという話は、現在受講しているコンサルタント養成講座の序盤の講義「経営とは意思である」に通じる話であると思う。

また、前段の情報の非対称性を取っ払ったときのボードメンバーが創造すべき価値とも言える。

以下、質疑応答(ここが非常に示唆に富んでいた)

iPhoneについて

こういう端末こそ、今のケータイを使いこなせていないような人たち(オジサンたち)が使うべき端末なのではないかと仰っていた。また、Wifiで繋がるこのようなガジェットが出てきたときに、携帯キャリアは必要なのか?という問いについては、品質(QoS)とくに通話という基本機能におけるそれの確保という観点からキャリアがなくなることはないだろうと言われていた。

あとは、キャリアがどれくらいムズムズして、どうやって垂直なり水平に手を伸ばしていくのかということなのかな。

Google Androidについて

一大学教授としての意見という注釈付きで、既存通信業界プレーヤーがユーザデマンドを的確に捉えきれておらず、進化のスピードが思うように上がっていないので、Googleがやらざるを得なかったのではないか、というのは面白いなと思う。

ターゲティングしすぎは非効率

過去の履歴に基づくDBマーケティングは儲からないという話。
昨今は、オンデマンドに振れすぎているのではないかという。オンデマンドは、その言葉通り、意思を要求する。これって疲れるよね、と。

また、最近、私自身も思うことだが、ターゲティングした広告プロモーションは、顧客の前借りになりかねない。究極にターゲティングされた見込み顧客は、放っておいてもゆくゆく顧客になる。それにリソースをかけて刈り取るのは、時期を前倒ししているに過ぎないというのはウンウンというカンジ。ただし、コミュニケーションの基盤が整っていれば、の話になると思うけど。

つまりは、その周縁こそ真のターゲットですよ、と。

久しぶりに映画「マイノリティリポート」を見てみようかな。