広告宣伝部としてコミュニケーションの粒度を考えると、SI産業が抱える矛盾や問題点ってのも“コミュニケーション”にあるというのがよく分かります。「コラボレーション」が最近、やたらと取りざたされるのも納得できます。で、そのあたりを理解するために、よく言われる“角砂糖”と“グラニュー糖”に例えるとスッと腑に落ちます。

  • 角砂糖
    四角に砂糖をまとめているのでコーヒーや紅茶に投入しやすい。また、投入する人によって、量が変化することはない。単位も明確で「一個」とか「ひとつ」。
    指先で入れられるし、万が一、こぼしてしまっても片付けやすい。「おいくつですか?」「二十歳です。」のような古典的ギャグも生まれる。
    だけど
    微調整ができない。一つでは物足りないけど、二つでは甘すぎるということが起こりうる。溶けるのに時間がかかる。標準規格が問題になる。それによって、保存する入れ物なども制約を受ける。
  • グラニュー糖

    サラサラなので、お好みの量を投入することができる。溶けるのも早い。粒なので特に標準規格を意識することはない。よって、入れ物の大きさも形も自由度が高い
    だけど
    単位があいまい。スプーン一杯とかが考えられるが、スプーンの大きさによって量は変わる。万が一、こぼれると散らかって片付けるの大変。古典的ギャグが思いつかない。

角砂糖のようにパッケージ化しておいたほうがデリバリしやすいし、単位が明確なので価格付けもしやすい。これまでのコミュニケーションや情報システムって角砂糖を如何に作るかってことだったと思います。

しかし、それだとパシッと決まらないというか、不満点が残ります。でも、そこは諦めていた(諦めさせていた)わけです。「こういうものです」「仕様です」ということで。だけど、ここ最近、諦めなくて良いということになってきた。まさにオンデマンドやアダプティブという言葉通りに。

つまり、最大公約数的な考えの下で、角砂糖を用意しつつ、グラニュー糖で微調整できるようになってきました。いままでそんなことしてたらコストが高くなりすぎていたんですが、そんなことないって言い始めて、実装され始めました。

実はコレは相当な意識改革が必要で、今までの延長線上で考えると、下手すると0.1mg単位の角砂糖ラインナップを作りかねないのです。で、「お好きな角
砂糖をどうぞ」って言っちゃう。そんなのが喫茶店のテーブルに並んでいたら、コーヒーを飲む前にグッタリしちゃいます。喫茶店は“コーヒーを飲んでリラッ
クスするところ”ではなく、“適切なサイズの角砂糖を入れるところ”になってしまいます。

と、捉えるとすべてがスルスルと繋がっていくように思うのです。