2006年6月号日経情報ストラテジー の第二特集「インターナルブランディング」はイントラコミュニケーションをブランディングという大局的な見地から捉える思考であり、イントラネットを考える上で重要だと思う。
記事では、ブリヂストン、日本たばこ産業、KDDI、大和ハウス工業、アンリ・シャルパンティエを事例としてまとめている。

かつてCI(コーポレートアイデンティティ)というのが流行し、企業ロゴやらスローガンを作るのがブランディングと勘違いした結果、そこで働く人という最も巨大で影響力のあるメディアが疎かになり、期待する効果を出せなかった企業が多くある。しかし

インターナル・ブランディングの重要性に気づく企業が顕在化してきたのは2?3年前。ブランド戦略に長けた欧米企業と戦う企業、アジア企業などとの価格競争から脱却したい企業などがこの手法に目を向けた。

という。でも、そもそもCIのCを形作るのは社員であって、それらのアイデンティティという意味では当然のことなんだろう。
特集では鉄則として「企業理念から作る」「全社員を巻き込む」「ミラー効果」を挙げている。

  • 企業理念から作る

企業理念を明確にしてそれを元にブランドビジョンを描く。
(中略)
ブランドビジョンは次の3つで表す。あるべき姿を簡潔な文章にした「ブランドステートメント」、それを一言に縮めた「ブランドメッセージ」、ブランド価値を高める「ブランド行動指針」

これはCIブームで作った遺産がありそう。ただ重要なのは行動指針は、

組織構造がよほどシンプルでない限り、部門ごとの基準がないと現場が混乱する恐れがある

というあたりか。

  • 全社員を巻き込む

ここが一番苦労しそう。中長期的に我慢強く活動するために、トップのお墨付きの元、あらゆる部署からクロスファンクショナルチームを作る必要がある。

  • ミラー効果

社外だけでは十分な効果がでないように、当然、社内だけでは十分な効果はでない。社外に向けての活動(つまり、社外へのコミットメント)によって、社員の意識改革は促進される。これをミラー効果というらしい。
よってイントラネットは、情報システム部門の牙城ではなく、広告宣伝部門、マーケティング部門にとっても非常に重要なファクターであることが改めて分かる。