NECしかり、日立しかり、富士通しかり、企業グループにおけるシナジーについては、各社各様に思考をこらしているようにみえる。

誰のため?

顕著にその取り組みを見て取れるのは、やはり各社のWebサイトだと思う。グローバルナビゲーションと称して、ヘッダーとフッターを共通化するのが基本線となっている。たしかに企業グループ全体でインタフェイスデザインがある程度、統一されているのは“気持ちが良い”。さて、これは誰が気持ち良いのだろうか?

グローバルナビゲーション推進論者は、「ユーザのため」という。

グループ全体ではなく、一企業(たとえば一子会社)単位でナビゲーションが共通化されているのは当然だと思う。戦略的にブランデッドサイトを立ち上げて、キャンペーンを張るのを除けば、基本情報はある程度のフレームワークのなかで展開されているほうが安心してページを進めることができる。 これは「ユーザのため」と言えそう。

では、グループ全体に適用するのも同様に言えるのだろうか?どうもこのあたりのロジックが弱い。つまりユーザのためではなく、親会社のマーケティング部門や宣伝部門のためという側面が強いようなニオイがしてならない。(たしかに、グループ企業全体が統一されていればマーケ部門としては壮観だろうし)

生まれるギャップ

今やお客さまの嗜好は多様化の一途を辿っている。コミュニケーション手段もしかり。つまり、ニーズを満たすソリューションや、そもそもお客さまと出会うコミュニケーションも多様化しなければならない。粒度を上げて、キメ細かくチマチマとチューニングしないと、存在できない。

その粒度を上げるときに、マーコム・スイートのような一枚岩的グローバルナビゲーションは、あらゆる要素を組み込んで分析し、開発しないと機能しなくなっていると思う。

つまり、“見た目”の問題ではないのである。「壮観な見栄え」でなんとなくイイ感じ見えた時代はとっくに終わっている。“コンテンツ”や“おもてなし”がブランドイメージに良い影響を与えるわけだし、この傾向はさらに強まると思われる。

そのあたりを睨んで各種チャレンジをされている企業グループとして、富士通は個人的には興味深いと思って見ている。(例:富士通サイト富士通エフサスサイト) グローバルナビゲーションを極限までシンプルにして、子会社が適用しやすい(つまり子会社のビジネスパートナーが利用しやすい)構造を検討・試行されている(と勝手に思っている)。

マーケ部門の気持ち良さや既存ルールの無自覚な適用などに陥らないことが、当然ではあるが、重要なんだと思う。