いつも僕のモチベーションにエコなガソリンを継ぎ足してくれるメルマガがある。電脳市場本舗Marketing Surfin’がそれ。坂本さんのことは勝手に私のマーケティングの師匠と思わせていただいていて、数あるメルマガのなかでも必ず読むものの一つとなっている。

最新号では、医薬品大手のメルク社の事例が紹介されている。中近東など貧困国が苦しむ伝染病の特効薬を開発し、それを必要とする人には無料で配布したというお話。

「医薬品は利益より人間を優先しなければならない」という創立者メルク氏の営理念が意思決定の礎になった。

という。この新薬によってメルク社は2億5,000万ドルの収益チャンスをふいにしたということになる。しかし、

結果、同社の研究員のモチベーション(士気)は大いに高まった。社員も「メルク」ブランドへの矜持がより高く、強くなったことだろう。そして何より、メクチザンで失明の恐怖から救われた約1億人の人々からの「ありがとう」の気持ちのビーム。1億人からの感謝のビームが集中したら、それはすごいよ。

確かにすごい。これ以上のモチベーションってきっとない。「世の中の役に立つ」は一銭にもならないが、だからこそものすごく価値があるんだ(金で買えない)ってことを、ここのところしみじみ感じる。

この資産を、Danah Zohar(日本語にしづらい発音なので、原記のまま)は「spiritual capital」と呼ぶ。
「人がなぜ働くのか、さらに、人が生きる意味は何か」
という、現代人に最もシリアスな課題に明確な回答を自分の働く会社が示してくれる。これほど重要で、志の高まるモチベーション・アップの資産は、他にない。

スピリチュアルキャピタルは、それを感じづらい業種は特に意識しないといけないと思う。たとえば、今回のような医薬など生命に関わる業種はダイレクトだが、IT系などは得てして見失いがちであると思う。テクノロジーで世の中にいかに寄与するのか?ってことを深く考えないといけない。

そう考えると、「オープンソース」の活動なんてのもあるべくしてあるという気がしてくる。

以下、余談でも少し感動。

ちなみにメルクは太平洋戦争終了直後、結核の流行していた日本に無料でストレプトマイシンを配布した。日本人もかつて、メルクに救われているのである。